そんなには褒めないよ。映画評

ミニシアター系映画レビュー*沈黙する言葉

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映画「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」(ややネタバレ)イタリア的叙情感あふれる劇画的ヒーローもの

イタリアでは日本のアニメが結構テレビ放映されているという話を聞いたことがありますが、この映画は、子どもの頃から日本のアニメのファンだったガブリエーレ・マイネッティ監督が、永井豪原作「鋼鉄ジーグ」をモチーフ(でいいのかな?)に撮ったダークヒーローものということです。

アニメについてはタイトルを耳にしたことがあるとかないとかくらいの知識しかありませんが、「鋼鉄ジーグ」って、どうなんでしょう、日本じゃかなりマイナーなアニメじゃないんでしょうか? 日本では1975年、イタリアでは79年に放映されたそうです。

 

監督:ガブリエーレ・マイネッティ

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テロの脅威に晒されるローマ。孤独なチンピラ エンツォはふとしたきっかけで超人的なパワーを得てしまう。始めは私利私欲のためにその力を使っていたエンツォだったが、「鋼鉄ジーグ」のDVDを片時も離さない熱狂的なファン アレッシアとの出会いから正義に目覚めていく。(公式サイト

 

イタリア文化というのは日本人に受け入れられやすいところがあるように思います。イタリア料理なんてイタメシと言われるくらい定着していますし、カンツォーネだって演歌っぽいところがありますし、映画も今でこそ日本で公開されるものはさほど多くはありませんが、ヴィスコンティ、フェリーニ、ヴィットリオ・デ・シーカ、ミケランジェロ・アントニオーニなどなど、名監督と言われる人も多く、昔は相対的にたくさん公開されていたように思います。

 

で、「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」。このタイトル、監督自らがつけている原題でもあるんですね。ジーグオタクのアレッシアは、エンツォを司馬宙(しばひろし)と呼んだりもしていました。

 

映画としては、やや構成に難がありますし、テンポに欠けるところも多く、課題は多いと思いますが、真面目にというのも変ですが、丁寧につくられていますので好感は持てます。

 

製作費の問題だと思いますが、銃撃戦やアクション系のシーンは人通りの少ない場所で撮ったりしており、そうしたチープ感が、日本の変身ものや怪獣ものの雰囲気を感じさせてくれます。

 

ラストシーンは、サッカー場に爆弾が仕掛けられたとの設定で、しばらくは人気のない場外での格闘や追っかけになっていましたので、ああお金がないのねなどと見ていましたら、スタジアムに入っていきますのでどうするんだろう?と思いましたら、何と、かなりのエキストラを使って臨場感豊かなシーンを撮っていました。

 

このシーンに懸けたのねと、この点でも好感が持てました。

 

残念な点は、悪役であるジンガロ(ルカ・マリネッリ)のキャラクターがはっきりしないことです。

登場シーンでは、鋭い顔立ちと長髪でかなり神経質な危ないキャラでしたが、裏社会での対抗勢力であるナポリの集団、このボスが強面の女性というのもイタリアぽいかなと思いますが、それとの抗争中ではかなり印象がうすくなって物語自体もやや迷走します。

後半は、ジンガロもエンツォ同様に超人パワーを手にしナポリグループを強殺するわけですが、それを自ら動画にとって Youtubeにあげ、その視聴回数を楽しむといった愉快犯的なキャラを見せたりします。

 

主役のジーグであるエンツォ(クラウディオ・サンタマリア)が情けないけれども心やさしいキャラクターで一貫しているだけに、悪役を一本筋を通したキャラクターにすればもっと集中できる流れになったように思います。

 

頻繁にテロが起きているローマが背景のようですが、それがほとんど物語に関わってこないのも残念です。

 

アレッシア(イレニア・パストレッリ)の年齢設定はいくつなんでしょう? 俳優の実年齢は30歳ですし、映画の中でも20代の雰囲気ですが、ジーグへの思い入れの背景をもう少し描いてくれればしっくり来たのではないかと思います。アレッシアは、父親から性的虐待を受けていたり、他にかなりひどい目にあってきたとありました。

 

ということで、もう少し突き抜けた感じのすっきり感を期待したのですが、かなりイタリア的(かな?)叙情感溢れるダークヒーローものでした。

 

ラストカット、アレッシアが編んでくれた手編みマスクをかぶるエンツォは結構イケました(笑)。シリーズにでもするつもりなのでしょうか(笑)?

 

鋼鉄ジーグ VOL.1 [DVD]

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