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そんなには褒めないよ。映画評

ミニシアター系映画レビュー*沈黙する言葉

映画タイトルの50音順メニュー作りました!

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監督:グザヴィエ・ドラン

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実在したフランスの道化コンビ「フティット&ショコラ」の友情、そして人種差別

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みかんの丘

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「雪の轍/ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督」え!?結局、それなの? 3時間20分後のオチにあれはいただけません。ラストがなければまだ見られたのに…

映画

久しぶりの映画です。原因は分からないのですが、空咳が突然出たりして、怖くてとても映画館へという気になれなかったのです。
で、2週間ぶりくらいに見た映画が昨年のカンヌのパルムドール「雪の轍」です。

こうした映画はきらいではありませんが、金持ちの知的道楽を哲学だと言って(いるわけでもないですが…)みても始まらないという映画です。

まあ確かに、決して人はわかりあえないとか、傲慢さは弱さの裏返しだとか、そうした人間の本質的な部分を描いているとは思いますが、今さら、そんなことを3時間20分の大作に仕立て上げられてもつらいだけで、面倒くさい人たちだなあとか、いやだったら出て行ったらとか、わざわざケンカ売らなくてもいいでしょとか、身も蓋もなくなるようなことばかりが浮かんできてしまいます(笑)。

世界遺産のトルコ・カッパドキアに佇むホテル。親から膨大な資産を受け継ぎ、ホテルのオーナーとして何不自由なく暮らす元舞台俳優のアイドゥン。しかし、若く美しい妻ニハルとの関係はうまくいかず、一緒に住む妹ネジラともぎくしゃくしている。さらに家を貸していた一家からは、思わぬ恨みを買ってしまう。やがて季節は冬になり、閉ざされた彼らの心は凍てつき、ささくれだっていく。窓の外の風景が枯れていく中、鬱屈した気持ちを抑えきれない彼らの、終わりない会話が始まる。善き人であること、人を赦すこと、豊かさとは何か、人生とは?他人を愛することはできるのか―。互いの気持ちは交わらぬまま、やがてアイドゥンは「別れたい」というニハルを残し、一人でイスタンブールへ旅立つ決意をする。やがて雪は大地を真っ白に覆っていく。彼らに、新しい人生の始まりを告げるように。(公式サイト

ただ、アイドゥン(ハルク・ビルギナー)という人物、よく画けてますね。シナリオ(会話)がいいのか、監督がいいのか、俳優がいいのか、特に、後半の妻ニハル(メリサ・ソゼン)とのシーンはすばらしいです。

慈善団体の集まりから疎外されたアイドゥンが、夜、妻の部屋を訪ね、あの男は信用ならぬとか、メンバーのリストや帳簿を見せなさいとか、余計なお世話の口出しで妻を詰問する場面なんですが、自分に絶対的自信をもち、人を見下すタイプの人間が完璧に画かれています。

これで最後だと言いながらも、自分が優位に立てるまで、「ひとつだけ教えてくれ(だったかどうかは?)」などとねばりにねばり、決してその場を去ろうとしません。アイドゥンの目から上を照らすライティングも相当考えられていました。

こんなところに書くことではありませんが、正直、「ああ、自分もこういうところあるわ…」などと、はっと気づかされてしまいました(涙)。

気を取り直して映画に戻りますが(笑)、この映画、このシーンとその後の妻ニハルの、自らは気づかぬ、そして多くの人からも気づかれない傲慢さのシーンで充分映画になります。

それに、あのオチはいただけません。

え!? 結局、それなの?

まあ、とはいっても、決して人(アイドゥンもニハルも)は変わりはしないのでしょうが…。