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そんなには褒めないよ。映画評

ミニシアター系映画レビュー*沈黙する言葉

映画タイトルの50音順メニュー作りました!

当サイトおすすめ映画直近の4作品

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午後8時の訪問者

監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ&リュック・ダルデンヌ

(ネタバレ)ダルデンヌ兄弟、相変わらず隙がなく完璧!

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パリ、恋人たちの影

監督:フィリップ・ガレル

(ほぼネタバレ)恋に悩む男女におすすめ、大人になるために。

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ブラインド・マッサージ

監督:ロウ・イエ

(完全ネタバレ)これに金熊を与えなかった審査員が信じられない!

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たかが世界の終わり

監督:グザヴィエ・ドラン

グザヴィエ・ドラン、会話劇で新境地

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最新記事

「ジミー、野を駆ける伝説/ケン・ローチ監督」ケン・ローチ監督の映画は上品ですね。過剰なところがなく、おだやかで、それでいて強い意志が感じられます。

ケン・ローチ監督の映画は上品ですね。過剰なところがなく、おだやかで、ことさら主張するところはないのですが、しっかりと、その意図するところは伝わってきます。

アイルランドの美しき風景のとらえ方も全く気負ったところがなく、そこにある風景がそのまま切り取られているだけ(に見える)なのに、なぜか眼に、心に残ります。

物語は、歴史に名を残したわけでもないひとりの活動家(リーダー?)ジミー・グラルトン(バリー・ウォード)を取り上げ、時の権力者、教会や地主たちと自由を求める人々との争いを描いています。

「自由を求める人々」とやや曖昧な書き方をしましたが、実は映画の中ではジミーを取り巻く人々がどんな階層なのか、どんな集団なのかはっきりしませんし、アイルランドにおいては自明のことかも知れませんが、独立戦争から内戦に至る戦いの中でどういう立場であったのかよく分かりません。

ただ、それがマイナスになっているわけではなく、権力者たちが敵愾心むきだしで口にする「共産主義者たち」という言葉やどちら側の言葉であったかは記憶にありませんが、幾度か出てきた「IRA」といった、イデオロギーや政治的闘争とはやや距離をおいたところの対立、つまりジミーとその仲間たちが、皆で自由に踊り、歌い、そして学びたいという(今の視点で言えば)極めて自然な欲求として表現されていることで、この物語がとても身近なものとして感じられます。

それこそ歩いて30分、自転車で10分みたいな狭い地域の話としてまとめられているのですが、根源的な自由への希求という普遍的なテーマがじわっと伝わってきます。ラストの自転車部隊には涙がこぼれます。

1932年、国を分断した悲劇的な内戦が終結してから10年後のアイルランド。アメリカで暮らしていた元活動家のジミー・グラルトン(バリー・ウォード)が、10年ぶりに祖国の地を踏み、リートリム州の故郷に帰って来た。かつて地域のリーダーとして絶大な信頼を集めたジミーは、気心の知れた仲間たちに歓待され、昔の恋人ウーナ(シモーヌ・カービー)とも再会を果たす。ジミーの望みは、年老いた母親アリス(アイリーン・ヘンリー)の面倒を見ながら穏やかに生活すること。
しかし、村の若者たちの訴えに衝き動かされ、内にくすぶる情熱を再燃させたジミーはホールの再開を決意し、仲間たちも協力を申し出る。かつてジミー自身が建設したそのホールは、人々が芸術やスポーツを学びながら人生を語らい、歌とダンスに熱中したかけがえのない場所だったのだ。やがてジミーの決断が、図らずもそれを快く思わない勢力との諍いを招いてしまい……。(公式サイト

ジミーとウーナ(シモーヌ・カービー)の音楽のないダンスシーンがいいですね。

ジミーが10年ぶりにアメリカから故郷に戻るところから映画は始まります。恋人ウーナはすでに結婚し二人の子どもがいます。ジミーはアメリカ土産としてウーナにドレスをプレゼントします。そしてある夜、ジミーをホールに誘い、ドアを閉めてと言います。ちょっとドキッとしたのですが、ウーナはプレゼントされたドレスを着てジミーの前に立ちます。

そして、窓からさす月の明かりの中での無音のダンス。とてもいいシーンでした。

「明日へのチケット」以降はすべて見ているのですが、かなり忘れかけているようですのであらためてDVDを見てみようと思います。