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そんなには褒めないよ。映画評

ミニシアター系映画レビュー*沈黙する言葉

映画タイトルの50音順メニュー作りました!

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「トム・アット・ザ・ファーム/グザヴィエ・ドラン監督」アスペクト比が違うシーンが何カ所(気づいたのは二ヶ所)かありましたが、どういう意味合いなんでしょう?

映画

なんだか様子が違うなあ、グザヴィエ・ドラン、ついにミステリーか、などと違和感を持ちながら見ていたら、最後までミステリーでした(笑)。

見ようと決めている映画については事前情報を入れることはほとんどありませんので、過去二作品(胸騒ぎの恋人は多分名古屋未公開)とは随分雰囲気が違うことに驚きました。

それもそのはず、ミシェル・マルク・ブシャールさんという方の戯曲が原作とのことで、脚本も二人の共同とクレジットされています。何でも、ブシャールさんのモントリオールでの舞台公演のあと、グザヴィエ・ドランが「僕はこの戯曲を映画化する!」(webDICE)と断言したそうです。どの程度事実なのかは分かりませんが、グザヴィエ・ドランらしい(知りませんが…)自信に満ちた発言がいいですね。

モントリオールの広告代理店で働くトム(グザヴィエ・ドラン)は、交通事故で死んだ恋人のギョームの葬儀に出席するために、ギョームの実家である農場に向かう。そこには、ギョームの母親アガット(リズ・ロワ)と、ギョームの兄フランシス(ピエール=イヴ・カルディナル)が二人で暮らしていた。
トムは到着してすぐ、ギョームが生前、母親にはゲイの恋人である自分の存在を隠していたばかりか、サラ(エヴリーヌ・ブロシュ)というガールフレンドがいると嘘をついていたことを知りショックを受ける。さらにトムはフランシスから、ギョームの単なる友人であると母親には嘘をつきつづけることを強要される。
恋人を救えなかった罪悪感から、次第にトムは自らを農場に幽閉するかのように、フランシスの暴力と不寛容に服していく……。(公式サイト

で、映画ですが、ぎくしゃくしているところも結構ありますが、グザヴィエ・ドラン、ミステリーも結構いけますね。これだけの話をよくもまあ二時間近くのミステリーにできるものだと感心します。ガブリエル・ヤレドの音楽が効いているせいもありますが、正直見ていてもさほど大したミステリーはなさそうなのに、なぜか不穏な空気でぐいぐい引っ張っていきます。

トム(グザヴィエ・ドラン)とフランシス(ピエール=イヴ・カルディナル)が争う場面がかなりのアップで撮ってあり、これが妙に、ではなくそのように撮っているのだと思いますが、かなり官能的なんです。その意味は、二人がタンゴを踊るあたりから、ああそうかと分かってきます。ああそう言えば、タンゴのシーンはやや俯瞰気味の高いところから引いた画で撮っていて対照的でした。フランシスの台詞も含め、あのシーンがこの映画の肝ということになるんでしょうね。

もう少しフランシスの人物像が徐々に徐々にサスペンスタッチで見えてくるとか、田舎がゆえの息苦しさみたいなものがあるといいなあとか、フランシスはもう少し田舎っぽく孤独な方がいいなあとか、見終わってみれば思うところもありますが、それにしても才能豊かなグザヴィエ・ドラン監督でした。

ああそうそう、アスペクト比が違うシーンが何カ所(気づいたのは二ヶ所)かありましたが、どういう意味合いなんでしょう? それとフランシスのアメリカンジャケットとラストの音楽があからさま(その意味ならですが)過ぎないですかね。

思い返してみるとどんどん出てきます(笑)。最後にもうひとつ、これを言っちゃなんですが、トムは自分自身で演じるのではなく俳優を使った方がよかったかも知れませんね。