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そんなには褒めないよ。映画評

ミニシアター系映画レビュー*沈黙する言葉

映画タイトルの50音順メニュー作りました!

当サイトおすすめ映画直近の4作品

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たかが世界の終わり

監督:グザヴィエ・ドラン

グザヴィエ・ドラン、会話劇で新境地

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ショコラ 君がいて、僕がいる

監督:ロシュディ・ゼム

実在したフランスの道化コンビ「フティット&ショコラ」の友情、そして人種差別

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ハンズ・オブ・ラヴ 手のひらの勇気

監督:ピーター・ソレット

エレン・ペイジのアップになるたびに涙が流れて…。もちろんジュリアン・ムーアもいいのですが。

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みかんの丘

ザザ・ウルシャゼ監督

この寓話的真実で争いがなくなることはないにしても、この寓話的真実を理解できなければとっくに世界は終わっている。

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最新記事

「楽園からの旅人/エルマンノ・オルミ監督」神の不在たるこの世をどう生きるかということでしょうか?

映画

映画というより舞台劇のつくりでした。内容的にもそうなんですが、ライティングやカメラの構図からもその印象が強いです。奥、たとえば教会の入口から差し込む光、斜め後ろからの光によるシルエット気味の構図、俯瞰の時のサスっぽいライティングなどなど、さらにオールスタジオ撮りでしょうから、当然ながら人物の登場の仕方も舞台劇そのものでした。

「イタリアのある街で、半世紀の間、市民が集ってきた教会堂が取り壊されようとしている。キリスト像も無残に下された。(略)夜、ひとりの男が傷ついた家族をつれて司祭館にやってくる。男は技師で、家族は不法入国者だった。そして教会堂には、さまよう人が次々とやってきた。多くがアフリカから長い旅を経てきた人だった。…」(公式サイト

というお話しで、その教会をずっと守ってきた老司祭(マイケル・ロンズデール)の苦悩を軸に、不法移民たちの2日間が描かれています。移民たちは、最後には皆教会を出て行くわけですが、その間に、子供が産まれたり、警察がやってきたり、自爆テロを思わせるシーンあったり、恋愛も多少あったような…。また、移民の一人が浜辺に流れ着いたというノートを持っているのですが、1ページ目は読めますが、次のページはくっついてめくれないとか、暗示以外のなにものでもないです。

といった感じで、リアリズムは全く求めていないようで、全てがかなり抽象的です。人物も、行為も、言葉も皆暗示的で、掴みづらいところが多く、移民たちの間にもグループがあるようですが、それらの細かい人間関係はよく分からなかったですね。

でも、結論から言いますと、多分、神の不在たるこの世をどう生きるかということでしょう。教会の高みにあるキリスト像が降ろされること、父親の分からない子供が産まれること、ノートに書かれた世界の始まりのような言葉などなど、あまりにもそのまんまで、果たしてそうかなとも思いますが、多分そうなんでしょう。

ただ、そのように神不在後の世界の混沌を暗示してはいても、じゃあどうするかへの積極的なアプローチがあるわけではなく、ましてや一神教でもなく、さらに無神論者であってみれば、混沌こそが世界の本質とも言えるのではないかと思うわけで…。