そんなには褒めないよ。映画評

ミニシアター系映画レビュー*沈黙する言葉

映画タイトルの50音順メニュー作りました!

当サイトおすすめ映画直近の4作品

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あさがくるまえに

監督:カテル・キレヴェレ

(ネタバレしても問題ない)のでよく知って見るべし。シンプルなのに情感豊か。

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ブランカとギター弾き

監督:長谷井宏紀

(ネタバレ)映画はシンプルなのに物語は深い

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残像

監督:アンジェイ・ワイダ

アンジェイ・ワイダ監督の遺作、心に残る映画です!

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午後8時の訪問者

監督:ジャン=ピエール・ダルデンヌ&リュック・ダルデンヌ

(ネタバレ)ダルデンヌ兄弟、相変わらず隙がなく完璧!

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最新記事

「ウィンターズ・ボーン/デブラ・グラニック監督」は、性を超えた新しい映画だ!

アメリカという国の一面なのか、あるいは原点なのか、荒々しくも殺伐とした映画です。

ただ、それも途中(ラスト近くかな?)までで、なぜか最後は皆優しくなってしまいます。個人的には、とことん行って欲しいのですが、そんな映画、誰も見たくないかも知れませんね(笑)。

それに、なぜか、私には何かが足りない感じです。何なんでしょう?

映画のつくりが一本調子なのもひとつの理由でしょう。17歳の少女(?)リー(ジェニファー・ローレンス)が、自宅と土地を保釈金の担保にして失踪してしまった父親を捜すことが軸になっていますが、ほとんどシーンが、その探す行為そのもので構成されています。リーは、とてもタフで力強く魅力的なのですが、その一面的な人物像だけでは最後まで持ちません。

始まってしばらくは、父親が今どこにいるかをややサスペンスタッチに描いていますが、それが、いつの間にか、死んで(殺されて)いることにすり替わってしまっているような、そんな印象を持つくらいに、リーの中で父親の死がいつ浮かび、いつ受け入れられたのかよく分かりません。それほどに父親が遠い存在だったとも考えられますが、その割には父親の残していった衣服や靴をリーが見つめるカットが幾度も入れられます。

そもそも、リーの父親の犯した犯罪の全体像がよく分からないです。リーの父とその兄、それにリーを暴行した一族は、皆で麻薬製造をやっていたということでいいのかな? で、リーの父親が捕まり、掟を破って何かを喋ったのでその一族に殺された、でいいのかな?

もしそうだとすると、普通(じゃないから犯罪者?)、自分たちの身の安全を守るためにリーを敵に回すようなあんな行為はとらんでしょう。それに、父親は殺されなきゃいけないほどの何を警察で喋ったの? あの一族に何か不利益が起きているようには見えなかったです。さらに、もし父親が何かを喋ったとすると、当然掟は知っているわけだから、わざわざ家や土地を担保にしてまで保釈されようとは思わんでしょう。刑務所にいた方が安全でしょう。

などなど、他にも、保釈保証人や保安官の位置づけなど、私にはよく分からないことが多かったですね。

まあ、映画なんですから、分からないことがあっても、それを打ち消すほどの何かがあればいいのですが、いくらジェニファー・ローレンスが良かったと言っても、強さだけではちょっと持ちません。

ところで、デブラ・グラニック監督について、というより女性監督について一言。もちろん、監督が女性であれ、男性であれ、それぞれ一監督として語ればよく、一般化して括ることに意味はないのですが、女も男も社会的存在であれば、社会的意味における性別の影響下にあるわけですから…、と、何だかまわりくどいですね。

で、この映画、女性をまったく性的存在としてみていないことに感動します。もちろん男性をもなんですが、極めてシンプルに、ひとりひとりを一人間としてえがいています。あらためて考えてみると、最近の「幸せパズル」や「グッド・ハーブ」もその点では近いものがあります。セックスシーンがあっても、男性監督の目線とは全く違います。

映画がいかに男性目線でつくられてきているかよく分かります。