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そんなには褒めないよ。映画評

ミニシアター系映画レビュー*沈黙する言葉

映画タイトルの50音順メニュー作りました!

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「再会の食卓」の食卓は整いすぎていないか?

映画

中国と台湾の歴史に翻弄(ほんろう)された元夫婦の悲喜こもごもを描き、家族とはどうあるべきかを問い掛ける人間ドラマ。40数年前に妻と離ればなれになった台湾の老兵が、上海に新しい家族を持つ妻の元を訪ねたことから、家族それぞれの思いが浮き彫りになっていく様子を映し出す。監督は、『トゥヤーの結婚』で国際的な名声を得たワン・チュアンアン。第60回ベルリン国際映画祭の最優秀脚本賞にあたる銀熊賞を受賞した、深みのあるストーリーに感じ入る。(cinematoday

といった解説を読んで、何気なくスクリーンに向かっていると、ついついそのつもりになってしまいますが、よくよく見ていると、何か変だなという気がおきてきます。

40数年前、大陸に置き去りにした元妻に、いきなり台湾で二人で暮らそうと誘う元夫。迷うそぶりも見せず、家族を前にして、今の夫との間に愛はない、愛したのは元夫だけと台湾行きを宣言する妻。それを、顔色一つ変えず承知する今夫。

これが、わずか1日か2日の間におきているのですよ。マジですか?

もちろん、その後、今夫が酔っぱらって本音をもらすシーンはありますが、その後の展開にびっくり! 今夫が軽い脳溢血(だったかな?)で倒れると、今度は、そんな今夫を置いては台湾へ行けないと、これまた迷うことなく心変わりする妻。

何もこの3人を非難する(笑)つもりで書いているのではありません。ちょっとばかり、映画のつくりが定型過ぎやしないかと思うだけです。このストーリーなら、もう少しじっくり3人の心情をとらえてもいいような気がしますが、何か違うところに意図があるんでしょうね。

そして食卓。

食事の場面が数多くある映画ですが、1シーン(多分)をのぞいて、まるで舞台劇のように、カメラ側に人を置かず、正面にやや開いて出演者を並べています。初っ端のシーンからして、元夫の手紙を読む孫娘を中心に、家族がカメラに向かってきれいに扇形にすわっています。それを固定カメラがとらえます。

昔のホームドラマのようなんですが、これは意図的なんでしょうね。

結局、元夫が一人で台湾へ帰るのですが、その波止場のシーン。

固定カメラが海をとらえています。乗客たちが、全員同じスピード、それもやや遅めでフレームインしてきます。(確か)その後、カメラはパンして、別れを惜しむ元夫と妻。やがて、カメラは、ほとんど同じ(のろい)テンポで歩く乗客たちの後ろ姿をとらえます。

これも何かを意識しているんでしょうか? 何か意図的なんですよね。

そして、もう一度食卓。

もてなしの食卓はかなり豪華ですし、酒もかなり入ります。それなのに、料理はあまり減った気配もなく、きれいに整ったままです。

何か気になります。これらのことを意図的にやっているのか、あるいは、これがワン・チュエンアン監督の手法なのか?

蛇足ですが、あの上海の風景はまさしく現在、2010年頃のものですよね。
時代設定についてのコメントが公式サイトにあります。

監督は、
「この映画の設定は、台湾からの帰郷団が90年代に経験したことを元に、2004〜5年が背景として描いています。初めての帰郷団は87年頃なので、そこからするとイエンションはかなり遅い段階で帰ってきた設定ですね。というのは台湾に妻がいたため、早い段階での帰郷ができなかったということなのです。」

ただ、どうなんでしょう? 40年前とか40数年前とか、字幕には入っていたと思いますが…。誤訳?